紅の平成 ☆ きもの暮らし

特別じゃないふだんの着物とキモノにまつわるあれこれ

2018年成人式考

遅ればせながら

あけましておめでとうございます。

紅です

 

今年もよろしくお願いします。

 

成人の日が終わってやっと一息。

年末年始に体調を崩したので、新年らしいことはほとんどできなかった。

年賀メールWiFiの調子が悪くて中途半端に終わってしまった。

 

成人式の打ち合わせが始まると、振り袖が持ち込まれお嬢様たちも訪れて華やかな空気に包まれる。

うちでは、あらかじめ着物をお預かりして当日までに準備万端整えておく。

お嬢様のイメージに合わせて帯結びも幾つか考えてリハーサルをしておく。

これをしておくと、当日は気分よく迎えられる。

 

暗いうちから・・・ということはあんまりない。

7時くらいから、時間を決めてきてもらう。

ヘアセット、メイク、着付けと段取りよく。

本当に楽しい幸せな時間。

 

私が着付けの仕事を始めた頃は、美容室に所属していて

「成人式は絶対出勤」

行かないとクビになると先輩に言われた。

真っ暗な中、始発に乗り街に行く。

ホテルの会場でどこのどなたとも知らない、お嬢さんと一瞬の出会い。

ものすごい勢いで二人掛かりで着物をきせる。

200人くらいのお嬢さんに着物を着せるために、私たち立ち詰めで7時間くらい働いた。

 

でも、時給はいつも通り。

 

先輩がお昼はホテルでランチを食べようというので、その日の稼ぎは吹き飛んでしまった。

なんだか腑に落ちない。

 

ちょっとした希望を言うお嬢さんを「クレーマー扱い」するスタッフの態度も嫌でホテルの成人式は行かないことにした。

 

ホテルなどの会場で100人単位のお嬢さんを集めて支度するところはレンタル着物屋なわけで、たいていは「当日の着付け、ヘアセットは¥0」とうたっている。

私たちの仕事の価値は¥0円。

そんな仕事は願い下げ。

 

そも、着付け師ってプライド低すぎ。

 

私は自分で営業してお客を見つけることに。

細々だが、もう何年も続いている。

 

だから、レンタル振り袖の変化に気づかなかった。

今年お客さんが持ち込んだレンタル着物を見て、暗澹たる気持ちになった。

「ここまで劣化しているとは」

 

その着物は前日前撮りをしたとかで、そのまま借りて当日を迎えるとのこと。

老舗の写真スタジオのレンタル衣装で、結構高かったとお客さんは言っていた。

 

一通りボディに着せてみる。

帯を結ぶ頃になると、とても嫌な気持ちになっていた。

「こんな着物を昨日、着付けした人がいるのか・・・」

他の着付け師さんたちはこんな着物を着せてきたんだろうか・・・?

私の中のエネルギーが吸い取られて、もうこの着物に触れたくないと思うくらい困惑した。

これは着物じゃなくてビニール。

 

老舗の写真スタジオもこんなものを採用しているなんてと、その店も信用できない気持ちになった。

 

あんまりだ・・・

そこまでして、金儲けがしたいのか。

この業界は・・・

 

と感じていた矢先に

はれのひ」問題。

レンタル振り袖業者が、成人の日を前に夜逃げしたとニュースで流れた。